漢陽寺には美しい庭園がいくつもありますが、特に美しいと評判の庭があります。それは、重森三玲がデザインした曲水の庭です。
▪️曲水の庭
庭を流れる曲水を中心に枯山水形式を融合させ、枯滝、築山などの構成を取り入れた珍しい庭で、その美しさはまるで絵画のようです。
因みに、漢陽寺の庭園は、本堂及び書院を中心として、その四面に作庭されています。
作庭の設計・指導は、目本庭園の権威、故重森三玲氏で、足掛け8年の歳月をかけて完成しました。
本堂裏側にある、潮音満とよばれる水を引き込むトンネルからの豊富な水を利用した、流水及び池泉形式と枯山水庭園の組み合わせで様々な時代形式の庭園が作庭されています。三玲氏の作で、一つの寺院にこれほど多種多様な形式の庭園が揃っているところは珍しく、日本庭園の歴史が一覧できる、貴重な庭園となっています。
▪️地蔵遊化の庭
この庭園は地蔵菩薩が子供と遊戯する様を平安様式の石組みによって表現したものです。枯山水の様式を用いながら、動的な表現を狙いとしています。また、四方のどこからでも眺めることが出来る珍しい庭囲です。
▪️蓬莱山池庭
漢陽寺北部の山裾を利用し若地の築山を造り、潮音洞の水を分流させた流水式の池庭となっています。石組みは遊薬式の手法を用い、鎌倉期を思わせる力強い構成となっています。
▪️九山八海の庭
九山八海とは、仏教における宇宙観のことで、この世の中心には宇宙空間をも超えるような孤高な山があり、これを須弥山と名付け、その山の周囲を九つの山と八つの海が囲んでいる様を言っています。山鮮下に築山を造り、鎌倉時代にみられる立石を中央に組み須弥山に見たてた、力強い豪快な庭園です。